これは、資金200万円から始まった、
ひとりの投資家の記録。
試行錯誤を繰り返しながら、
やがて1億円へと辿り着くまでの、
相場の軌跡である。
投資遍歴 第五章【後編】
― 小さな灯りに照らされた日 ―
相場から逃げ出したあと
2014年5月。
“トレード恐怖症”になった私は、
この一か月間、一切の売買をしていない。
だがその間、
何もしなかったわけではなく、
その時間は、すべて
「考える」ために使った。
長い底なし沼のような、下げ相場と、
歴史的な、上昇相場。
その両方を
経験したにもかかわらず、
自分の中で、
何ひとつ整理できていなかったことに、
気が付いたからだ。
トレーディングを学び直す
まずは、
これまで何度も読んだ本を、
もう一度、最初から読み返した。
特によく読み返したのは、
オリバー・ベレスの
『デイトレード』
以前は「小手先のテクニック」として
感じていた言葉が、
実践を経験したのちに触れると、
「思考の方法」として、
頭に入ってきたのを覚えている。
「トレーディングにおける七つの大罪」
の項目は、今でもよく読み返す。
「成功者の記録」に触れる日々
そして、この期間で
最も時間をかけたのは、
「成功者たちの記録」
に触れることだった。
億の資産を築いたトレーダーのブログ。
当時の私には、
まだ遠い世界の話ではあったが、
そこに書かれているものは、
まさに宝の山だった。
ーーー
書かれていたのは、
派手な必勝法ではなく、
そこに至るまでの“思考の過程”。
実践記録とともに綴られている、
再現性、資金管理、地合いの読み方。
損小利大の実践。
相場は木を見る時期と、
森を見る時期があること。
需給はすべての材料に優先されること。
そこに並んでいる言葉たちを、
私は何度も読み返した。
千を超える記事を、
まるで地図をなぞるように。
繰り返し、何度も何度も。
それはまるで、
“灯りに照らされた”ような感覚だった。
暗闇の中で、
はじめて足元が見えたような…。
相場に戻った日
そして6月になり、
私は、再び相場に戻った。
“恐怖症”の影は、
まだ完全には消えていない。
けれど…そこで見えている景色は、
以前よりも、すこしだけ“鮮明”だった。
当てにいかない。
焦らずに、相場をみる。
そして、
需給が、はっきりした場所だけに立つ。
狙いを定める
そして、狙いを定めたのは、
当時、上場したばかりの
“フィックスターズ”という銘柄だった。
“みずほ銀行との提携”という
明確な材料が出て、
明らかに、
大きな資金が集まり始める気配
を感じたからだ。
私は、この銘柄を、
材料が出た当日に、
躊躇せず、大きく買った。
そして…思惑通りに
ぐんぐんと伸びていく株価。
以前の私なら、
ほどほどの所で、
利益を取りに行っていただろう。
だけど…今回は、
すぐには、離さなかった。
結局、9000円で買った株は、
数週間後には、
3万円を超えるまでに伸びていた。
そこで、
200万円を超える利益を確定。
これは、相場に助けられた
偶然の利益ではなく、
自分の実力で、
つかみ取ることができたもの。
もしかしたら、この世界で、
まだ、やれるのかもしれない…。
そんな思いが、
胸に沸き起こったのだった。
需給に耳を傾ける
その後も、
需給の声に耳を澄ませながら、
トレードを続けた。
モンストで盛り上がった、
ミクシィ。
上場間もない話題株、
サイバーダイン。
売りたい重さよりも、
“買いたい熱”が上回っている、
押してもすぐに買いが入り、
出来高が途切れない。
そんな銘柄に、
強気で入り続けた。
気がつくと、
あの「逃げ出した日」に
300万円にまで減っていた資金は、
年末には、
700万円にまで増えていた。
2014年。
この年は、私にとって、
大きな転機の年だった。
短期トレードにおいては、
需給はすべての材料や
ファンダメンタルズに優先すること。
成功者の軌跡に触れることで、
それを自分なりに体感できた、
そんな一年だった。
そしてこの経験は、
急浮上する2015年へと、
つながっていくことになる。
―― 続きはまた、次章で。
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