ビットコインは「金」か「チューリップ」か― 暗号資産の不安定な市場と、揺れる資産価値

【 投資戦略と市場構造 】

ビットコインは「金」か「チューリップ」か ― 暗号資産の不安定な市場と、揺れる資産価値 ―


暗号資産に対する問い


暗号資産、とりわけ
ビットコインについて考えるとき、

よく出てくる問いがあります。

「これは、金のような価値保存資産なのか」


それとも、

チューリップ・バブルにおける
チューリップのような、

「実体価値の薄い、投機対象商品なのか」



極端な意見も多いテーマですが、
この問いに対して、

現時点では、
どちらか一方を正解として選ぶのは
難しいと感じています。


なぜなら、
今の暗号資産市場は、

その「両方の性質」を
併せ持っているように見えるからです。


「金に近い」と言われる理由


まず、ビットコインが
「デジタルゴールド」と呼ばれる理由には、

下記のようなものがあります。

  • 発行量に上限があること
  • 国家や中央銀行の都合で増やされないこと
  • 国境を越えて価値が共有されていること


こうした点は、
金とよく似た性質です。


法定通貨である円やドルが
インフレで価値を落とす局面では、

「価値の保存先」として注目されるのも、
自然な流れだと思います。


この意味では、
ビットコインは確かに

「金に近い性質」
を持っていると言えるでしょう。


価値の裏付けは?


先ほど暗号資産には
「金に近い性質がある」と書きました。


でも同時に、暗号資産には、

「現物による価値の裏付けがない」
「法定通貨のような強制力がない」

といった、別の側面もあります。


株式のように、

発行会社の「財産所有権」が
法定されているようなもの、

ではないのです。


いうなれば…
ものすごく極端な言い方をしてしまうと、


これは、

「価値の裏付けのない、
ただのデジタルデータ」

とも言えるのかもしれません。


ーーー

※なお、最近では、
暗号資産の位置づけを明確にしようとする
制度面での動きも見られます。
クラリティ法案

ただし、こうした枠組みが
整ったからといって、

資産としての価値そのものが
すぐに定まるわけではありません。


思い出してしまう出来事


そして、
今の暗号資産の動きを見ていると、

どうしても
思い出してしまうものがあります。


それが、17世紀の
“チューリップ・バブル”です。

  • 価格が短期間で乱高下する
  • 「乗り遅れたら損をする」という空気
  • 価値の説明より、期待が先行する状態
  • 商品の資産価値の実体がはっきりしない


こうした構図は、現在の暗号資産の値動きと
驚くほど似ています。


当時の人々も、

「球根1個で家が買えるなんておかしい」

と薄々感じながら、
熱狂の中に巻き込まれていきました。


そして今、

“実体のないデジタルデータ”が
非常に高い価格で取引されている。

こういった現実を見て、
同じような感覚を覚える人がいるのも、
無理はないと思います。


なお、
あの有名なバフェット氏も、

ビットコインについて、
チューリップバブルになぞらえた発言を、

以前にしたことがあります。


違いは「技術が残る」こと


もちろん、

チューリップと暗号資産を
完全に同一視することはできません。


チューリップは、
最終的には観賞用植物で終わりました。

一方で、暗号資産の背後には
ブロックチェーンという技術があります。


この技術自体は、送金手段、決済方法、
契約(スマートコントラクト) など、

金融や社会の仕組みを変える可能性
を、確かに持っています。


この点は、チューリップとは
決定的に異なる部分です。


いまは「金」に近くもあり、「チューリップ」でもある段階


だから私は、
今の暗号資産をこう捉えています。


「金に近い性質」を持ち始めてはいるが、
同時に、「価値の実体」が説明しずらく、

強い投機性も抱えた、
不安定な市場における商品。


「実体的な価値の芽」と、
「人の感情が作る価格の熱狂」が、

同じ場所に混在している状態です。


だからこそ、

  • 何倍にもなることもあれば、
  • 想像以上に崩れる可能性もある。


これは、
「優れている」「危険だ」という
単純な話ではなく、


“まだ答えが定まっていない”
資産価値
に対して、

「価格が先に走り出している」


こうした、大きなリスクを孕んだ
状況なのではないかと思います。


どの距離感で向き合うのか


まとめると、暗号資産は、


▶「安全資産」として
無条件に信頼できる存在でもなく、

▶「無価値な投機商品」と
切り捨てられる存在でもない、


そんな位置にあると感じています。


そして、大きな可能性と、
大きなリスクが同時に存在する商品。

そのことを理解したうえで、
「どの距離感で向き合うのか」を考える。


それが、

今の”暗号資産”と付き合ううえでの、
一番大切な視点なのかもしれません。


ーーー

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