これは、資金200万円から始まった、
ひとりの投資家の記録。
試行錯誤を繰り返しながら
やがて1億円へと辿り着くまでの、
相場の軌跡である。
投資遍歴【第一章】 ‐波乱の幕開け〜
2005年の冬。
夜明け前の空のように、
まだ何色にも染まっていない頃。
初めて証券口座に振り込んだ
200万円を見つめながら、
私の胸の奥は、少し震えていた。
「ここから、何かが変わるかもしれない」
淡い期待と、不安。
とりとめのないざわめきが、
胸の奥に同居していた。
最初の高揚
最初の一か月だけは、
市場がまるで、
微笑んでくれているようだった。
あの頃の相場は、
新興市場バブルの最終章に
差し掛かっていた頃。
まるで夜空の最後の花火のように、
光は強く、そして儚かった。
右も左も分からない私は、
不慣れで効率の悪い売買を
繰り返してはいたが、
地合いの助けにより
資金が少しずつ増えていき、
200万円の資金は、
あっという間に
220万円になっていた。
「意外といけるのかもしれない」
根拠のない自信が胸を満たし、
若さゆえの無謀さが、
世界を明るく照らしていた。
…そのときまでは。
突然、相場の恐ろしい顔が、
姿をあらわした。
赤い画面と凍りつく心
2006年の1月の事だった。
仕事を終え、家に帰り着くと、
テレビの画面には…
時代の風雲児が
逮捕されたというニュースが、
大きく報道されていた。
ニュースに映る光景は、
まるで市場全体を握りつぶす
合図のようだった。
この事件を契機に…
これまで盛り上がっていた
新興市場の銘柄たちが、
一斉に値を消していく。
“ライブドアショック“
画面の数字は
みるみる赤く染まり…
わずか数日のうちに、
私の資金は、
40万円以上が消失した。
まさに、心臓が凍りつくような感覚だった。
その時、私はまだ
普通のサラリーマンだった頃。
当時の月収の倍ほどの資金が
一瞬で消失するのを
目の当たりにして、
投資の世界は、
こんなにも残酷なのかと、
痛感させられた。
独立開業の傍ら・・
それでも、
足を止めるわけにはいかなかった。
2006年4月には
税理士事務所を独立開業。
仕事に追われる毎日を過ごしていた。
ただ、株式市場にも
大きな可能性を感じていたため、
相場との対峙は続けることにした。
だが、
開業準備に追われながらの状態では
相場に集中することは出来ず、
結果は散々だった。
暗黒期の長い影
そして、
その時代は株式市場そのものが、
暗雲に覆われていた。
2006年から2008年。
暗黒期。
特に新興市場は壊滅的で、
マザーズ指数(現グロース250指数)は
2800ポイントから250ポイントへと、
わずか3年足らずで
10分の1になる程の下落を見せる。
少ない資金を大きく増やしたいと
考えていた私は、
新興市場の銘柄の
短期トレードを中心にしていた事もあり、
勝ち続けられるはずもなく、
資金はじわじわと、削られていった。
冷めていく高揚感
それでも、
株式市場の可能性を信じて、
相場に向き合い続ける日々が続いた。
だが、
独立開業した仕事は徐々に軌道に乗り、
忙しさを増してきた事もあって、
投資への情熱は、
次第に色を失っていった。
気づけば、
始まりの頃に抱いていた
高揚感は、遠い記憶になっていた。
代わりに残っていたのは、
敗北感と、どこか冷めていく心だった。
…それでも、
相場から、
完全に離れることはなかった。
その先に訪れる、さらに大きな嵐。
リーマン・ショックの足音を、
まだ聞かぬままに。
――続きはまた、次章で。
ーーー【関連記事】ーーー





