事例で見る「資産バリュー株」協栄産業TOB‐開かずの宝箱が開いた日
投資の世界では
「資産バリュー株」という言葉を
耳にすることがあります。
その中でも、まさにお手本のような
存在だったのが協栄産業(6973)でした。
この会社は2025年の5月に
加賀電子からTOBされる事となったのですが・・
その時点の株価2,227円に対し、
TOB価格は3950円でしたので、
77%のプレミアムが乗った価格でした。
今回は、この会社が
どのような形で資産バリュー株として
存在していたのか。
そして、「眠った財宝」が
どのようにして掘り起こされたのか。
この辺りを解説したいと思います。
152億円入っていた箱が 67億円で売られていた…
この会社の2025年3月決算時点の
PBR(株価純資産倍率)は約0.36倍。
「時価総額」約67億円に対して…
「純資産(自己資本)」は
約189億円もありました。
そして大事なのは、その中身。
工場の「機械」や「のれん」といった
“換金しにくい資産”ではなく、
「現金」や「有価証券」、「土地」など
“換金性の高い資産”が多かったんです。
この「中身が現金に近い」という点が、
資産バリュー株として非常に魅力的でした。
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※資産バリュー株とは何か?については、
こちらの記事で詳しく解説しています。

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具体的に計算してみると
協栄産業の2025年3月時点の
実際の貸借対照表をみてみると…
まず、資産の中から
「換金しやすい」資産だけを
ピックアップして計算します。
①(換金しやすい資産)
・現金預金 42億
・売上債権 185億
・在庫 66億
・土地 2億
・有価証券 45億
【合計】 340億円
②(負債(借金))
【合計】 188億円
①の換金しやすい資産から、
②の負債合計を差し引いた額が、
152億円。
そして、
「この時点の株価で、この会社の株を
全部買う場合」の、
「時価総額」は約67億円でした。
※株価2,227円×約300万株=66.8億円
「すぐ現金に換えられる財産 152億円」
を持っている会社が、
「67億円」で買える訳です。
これは…
箱ごと買いたくなりますよね・・。
ケチな管理人が守る宝箱 (バリュートラップ)
なお…
それだけ安いなら、何も考えずに
株を買いまくっていたら良かったじゃないか!
と思われるかもしれません。
ただ…それもなかなか難しいんですね・・
それは・・管理人(経営陣)が
とにかくケチだったこと(汗)
この会社、いわゆる
「バリュートラップ」にかかっていました。
たとえば配当。
◎2024年3月期
「一株利益(EPS)445円」に対して「配当95円」
◎2025年3月期
「一株利益(EPS)571円」に対して「配当110円」
「いや、もう少し出してもいいのでは…?」
と思わずツッコミたくなる水準です・・
財産もたっぷりあるうえ、
利益もしっかり出ているのに、
株主への還元は最小限。
資産をため込み、配当も控えめ。
まさに「ザ・バリュー株」といった感じの
典型的な銘柄でした。
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※バリュートラップとは何か?については、
こちらの記事で詳しく解説しています。

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市場が動いた瞬間
そんな中、
筆頭株主の三菱電機に加え、
加賀電子が株を徐々に買い進め、
大量保有報告書を提出。
市場では「これは何か起こるかも…」と
ざわつき始めます。
そしてついにTOB(株式公開買付)が行われ、
株価は急上昇。
長い間「安く放置されていた宝箱」が、
ようやく正当な値段で買われた瞬間でした。
我慢と信念の投資
資産バリュー株投資は、
どうしても我慢が必要です。
中身に価値があっても、
動きが無ければ株価はなかなか上がりません。
でも・・
アクティビスト(物言う株主)や
企業改革の流れ、今回のようなTOBなど・・
何かのきっかけで、
ようやく財布の紐がゆるめられる瞬間が
やってきます。
その時、長く見守ってきた投資家が
一番報われる。
それこそが、
資産バリュー株投資の醍醐味なのかも
しれません。
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