デイトレについて、少し立ち止まって考えてみる ― 自分に合う距離感を見つけるために ―
最近、投資の裾野が
広がってきたこともあり、
デイトレードを始める人も
増えてきたように感じます。
一部ネット証券では手数料が無料になり、
スマホひとつで、
その日のうちに結果が出る。
相場が上がっても下がっても
チャンスがあるようにも見える。
デイトレードは、
ある意味とても魅力的に映ります。
ただ一方で、
「思ったより難しい」
「なぜかうまくいかない」
そう感じている人が多いのも事実です。
今日はこのデイトレードについて、
メリットとデメリット、
そして研究データから見えてくる現実を、
少し整理して書いてみたいと思います。
メリットとデメリット
まずは、デイトレードのメリットと、
デメリットを考えてみます。
▶デイトレのメリット
・持ち越しリスクを避けやすい
・相場の上下どちらでも機会がある
この2点は、
たしかにデイトレならではの特徴ですね。
相場全体の方向感に
大きく左右されにくいというのは、
精神的に楽な側面もあります。
▶一方で、デメリットは
・素早い判断スピードが求められる
・売買回数が多く、コストが積み上がりやすい
・判断ミスが、そのまま損失になる
デイトレでは、長期投資と比べて
考える時間の余裕がありません。
これは、ゆっくりと
戦略的に考えることができる
長期投資に比べて、
デイトレードの難易度が
格段に高くなる理由のひとつです。
強い相手とのお金の取り合い
そして、
デイトレードが難しい最大の理由は、
「戦っている相手が、とても強いこと」
「その強い相手と、短い時間の中で
お金の取り合いをする世界」
だからです。
デイトレードは、
“その日の値動き”だけを取り合う世界。
誰かが勝てば、
その分、誰かが負けてしまいます。
(こういう世界のことを、
「ゼロサムゲーム」といいます。)
そしてそのゲームの相手は、
・短期売買を仕事にしているプロ
・高速で売買を行うアルゴリズム取引
(機械による自動売買)
そんな相手たちです。
とても強い相手と、
ゼロサムゲームで勝負をしている。
これが、デイトレードが簡単そうに見えて、
実はとても難しい理由です。
いきなりデイトレ?
たとえばテニスを始めるときに、
いきなり一番難しいショットから
練習する人はほとんどいません。
体験レッスンで
バックハンドスライスとか…
みんな帰っちゃいますね(笑)
それでも投資になると、
最も難易度の高いデイトレから
始める人が多い。
ここには、少し立ち止まって
考える余地がある気がします。
研究結果では…
なお、ここでは
少し残酷なデータをご紹介します。
(研究結果として分かっている事実)
▶1992年から2006年までの約15年間、
台湾市場における
「全個人投資家の取引データ」を
対象にした分析では、
次のような結果が確認されています。
ーーー
◎「個人投資家の99%以上」は、
頻繁に売買を繰り返した結果、
トータルでは損失になっている。
ーーー
◎一方で、
「上位1%未満」のトレーダーのみが、
再現性高く、
市場平均を上回る成績を残している。
ーーー
◎この少数の「勝ち続けているトレーダー」
が優れているのは、
・短期的な需給の変化
・流動性の偏りの読み取り、
・売買執行のタイミング
といった点であると分析されている。
ーーー
◎成績が振るわないトレーダーほど、
損失を出しても取引頻度を落とさず、
「経験による学習効果」は
統計的に確認されなかった。
ーーー
※台湾市場の全個人投資家データを
分析した学術研究Barber et al.
(2014, Journal of Financial Markets)
を参考にしています。
スタンスを長くしてみると…
では、スタンスを少し長めに、
スイングや中長期に変えてみると
どうでしょうか。
・判断スピードの要求は下がり
・相場観や分析が活きやすくなり
・精神的な負担も軽くなる
こういった側面があります。
また、株式=会社財産の持分
という基本から考えると、
長期的には会社が
利益を積み上げていくことで、
株式価値は大きくなっていく。
つまりは、
“短期の世界”だと
戦場のような「ゼロサムゲーム」だった世界が、
“長期のスタンス”では
穏やかな「プラスサムゲーム」に
世界が変わっていきます。
株式投資は、
一つの型しかない世界ではありません。
自分の向き不向きに合った距離感を
見つけることの方が、
ずっと大切だと思います。
自分に合うスタンスを考える
相場で大切なのは、
「長く居続けられる場所」
を見つけることです。
もし、
「とりあえず始めてみたデイトレ」
について、少し違和感があるようでしたら、
上記のようなデータをもとに、
一度立ち止まって考えてみても、
いいかもしれませんね。
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